ホンダの人気スクーター「PCX125」。スタイリッシュなデザインと実用性の高さで、通勤や通学、そして週末のちょっとしたツーリングまで、本当に幅広く活躍してくれる万能選手ですよね。私も街で見かけるたびに、その洗練されたデザインと静かな走行音に、つい目で追ってしまいます。
PCX125の購入を検討していたり、すでにもうオーナーだったりすると、やっぱり心のどこかで気になるのが「実際、最高速ってどれくらい出るの?」というパフォーマンスの部分じゃないかなと思います。
ノーマルの状態で平坦な道なら何キロくらいを期待できるのか、そして初代(JF28)から現行(JK05)まで、歴代モデルで性能差はどれくらいあるのか。もし中古で買った車両が「あれ?思ったよりスピードが出ない…90kmしか出ない…」なんてことになったら、その原因は何なのか、気になりますよね。
さらに上を目指して、カスタムやボアアップで夢の130km/h走行は可能なのか、そんなロマンを追い求める人もいるかもしれません。
この記事では、そんなPCX125の最高速に関するあらゆる疑問や気になるポイントを、メンテナンスからカスタムの世界まで、詳しく掘り下げていきますね。
- PCX125のノーマル状態での最高速目安
- 歴代モデルごとの馬力やスペックの違い
- 最高速が落ちた時の原因とメンテナンス
- 最高速を上げるカスタム方法と注意点
PCX125の最高速。ノーマル性能と歴代比較
まずは基本となる、PCX125の「素」の性能を見ていきましょう。工場出荷時のノーマル状態でどれくらいの実力があるのか、そしてモデルチェンジを重ねるごとにどう進化してきたのか。スペック表に現れる馬力や車重の違いが、実際の最高速にどう影響するのかも気になるところですね。基本を知ることで、カスタムの方向性やメンテナンスの重要性も見えてきます。
PCX125のノーマル最高速は何キロ?

いきなり結論からですが、PCX125のノーマル(純正)状態における最高速は、諸条件が良ければ、おおむね時速100km/hから110km/hの範囲に収まることが多いようです。
もちろんこれは、ライダーの体重や服装(風の抵抗)、路面の勾配、そして風向き(特に向かい風は天敵ですね…)によって、5km/h~10km/h単位で簡単に変動してしまいます。125ccのスクーターとしては、これは十分以上にスタンダードな性能と言えるかなと思います。
ただ、ひとつ知っておきたいのが、バイクのスピードメーター表示についてです。実は、ほとんどのバイクのスピードメーターは、実際の速度(GPSなどで測った速度)よりも、少し高めの数値を表示する傾向があります。
メーター誤差(ハッピーメーター)の理由
これは故障ではなく、保安基準によって「メーターの指す速度が、実際の速度を下回ってはならない」と定められているためです。そのため、メーカーは意図的にプラス側の誤差(メーターの方が速く表示される)を持たせて設計しています。
ですから、メーター読みで「おっ、100km/h出た!」という時、実際の速度は90km/h台半ばである可能性も十分ある、ということは頭の片隅に入れておくと良いですね。
歴代モデルの馬力とスペック比較
「PCX125」とひとくくりに言っても、2010年に初代が登場してから現在に至るまで、エンジンやフレーム設計は大きく進化を遂げています。特に最高速に直結するエンジン性能は、モデルチェンジのたびに向上しています。
まずは、歴代モデルのスペックと最高速の目安を一覧で見てみましょう。
| モデル(代目) | 型式 | 販売年式 | エンジン | 最高出力 (PS) | 実測最高速 (目安) |
|---|---|---|---|---|---|
| 初代 | JF28 | 2010-2013 | eSP (後期) | 11.5 PS | 95-100 km/h |
| 2代目 | JF56 | 2014-2017 | eSP | 12 PS | 100-105 km/h |
| 3代目 | JF81 | 2018-2020 | eSP | 12 PS | 105 km/h |
| 4代目 | JK05 | 2021- | eSP+ (4バルブ) | 12.5 PS | 105-110 km/h |
注:表の最高速はあくまで様々な走行条件下での目安の数値です。車両の個体差やメンテナンス状況、走行環境によって大きく変動します。
こうして見ると、モデルチェンジのたびに馬力が少しずつ上がり、それに伴って最高速も順当に伸びているのがよく分かりますね。各モデルの特徴をもう少し詳しく見てみましょう。
初代 (JF28) : 2010-2013年
日本の125ccスクーター市場に「プレミアム」という概念を持ち込み、大ヒットした初代モデルです。初期型と、アイドリングストップ機構を備えた低フリクションエンジン「eSP」を搭載した後期型(2012年〜)が存在します。今なおカスタムベースとしての人気が非常に高く、駆動系パーツが豊富なのが最大の特徴です。
2代目 (JF56) : 2014-2017年
灯火類がすべてLED化され、外観の印象がよりシャープになりました。エンジンは初代後期の「eSP」を継続しつつ、細部を熟成させています。このモデルあたりから、125ccスクーターとしての完成度が一段と高まった印象がありますね。
3代目 (JF81) : 2018-2020年
フレームが新設計の「ダブルクレードル」タイプになり、走行安定性が向上しました。また、便利な「スマートキー」が初採用されたのもこのモデルです。エンジンは引き続き「eSP」ですが、最高速の伸びが良くなったという声も多いですね。
4代目 (JK05) : 2021年~

現行モデルとなる4代目は、エンジンが新設計の4バルブ「eSP+」へと劇的に進化しました。最高出力は12.5PSと歴代で最もパワフルで、ノーマル状態での最高速ポテンシャルも最も高いとされています。
この「eSP+」は、従来の2バルブから4バルブ(吸気2・排気2)になったことで、混合気の吸排気効率が大幅に向上。さらにボア×ストロークの変更やピストン裏側にオイルを噴射する「ピストンオイルジェット」を採用するなど、フリクションを低減しつつ高出力化を達成しています。(出典:Honda公式サイト『eSP+の概要|テクノロジー』)
まさに、ホンダの技術が詰まったエンジンと言えますね。
全長・重量とツーリング適性

PCX125のスペックを見てみると、全長は約1,935mm、車両重量も約130kg前後あります。これは125ccクラスの中では比較的「大柄」で「重め」な部類に入ります。
この「大きすぎず、軽すぎない」絶妙なサイズ感と、長めのホイールベース(前後タイヤ間の距離)が、走行時の安定感に大きく貢献しています。
もちろん125ccなので高速道路には乗れませんが、バイパスや郊外の道を流れに乗って走るような下道を使ったツーリングでは、この車格が強力な武器になります。車体が軽いと小回りは効きますが、ある程度の重量があった方が、長距離を走った時のドッシリとした直進安定性や、トラックに横を追い越された時の横風に対する安心感がまったく違いますね。
この安定感が、結果的に最高速域(80km/h〜)での走行時もライダーに不安を感じさせない、PCX125の大きな魅力になっていると私は思っています。
最高速が90kmしか出ない原因
「自分のPCX、新車(あるいは調子が良い時)は100km/h出たのに、最近90km/hも出ない…」
もし、かつて出ていたはずのスピードが出なくなったとしたら、それは「性能が落ちた」のであり、カスタムパーツで補う前に、まず基本的なメンテナンス不足を疑うべきサインかもしれません。
特に中古で購入した車両だと、前のオーナーがどんなメンテナンスをしていたか、どんな乗り方をしていたかが分かりませんからね。主な原因は、エンジン本体の重大なトラブルよりも、パワーをタイヤに伝える「駆動系」や、見落としがちな「足回り」のメンテナンス項目にあることが多いんです。
駆動系の消耗とタイヤの空気圧

最高速がガクンと落ちる原因として、最も一般的で、かつ影響が大きいのが「駆動系」パーツの消耗と、基本的な「タイヤ空気圧」の管理不足です。
Vベルト(ドライブベルト)の摩耗
スクーターの動力伝達は、金属のチェーンではなく、ゴム製の「Vベルト」で行っています。このVベルトは消耗品で、走行距離が1.5万~2万kmくらいになってくると、プーリーとの摩擦で摩耗し、ベルトの幅が目に見えて細くなってきます。
ベルト幅が新品の状態から1mm〜2mm細くなると、エンジンの回転が上がっても、プーリー(ギアの役割をする円盤状の部品)の一番外側(=最もハイギアな位置)までベルトが届かなくなります。
これは、自転車で一番重いトップギアが使えなくなるのと同じ状態です。物理的にそれ以上変速できなくなるため、エンジンはまだ余力があるのに、最高速だけが10km/h以上ガクンと落ちる、という直接的な原因になります。
摩耗したベルトを「まだ走れるから」と使い続けるのは非常に危険です。性能低下だけでなく、最悪の場合、走行中にベルトが切れてプーリーなどもろとも駆動系全体を破壊する深刻なトラブルにつながります。最高速が著しく低下したと感じたら、走行距離も確認の上、すぐにバイクショップで点検・交換をしてください。
ウェイトローラーの偏摩耗
プーリーの内部で、遠心力によって転がり、変速をコントロールしている「ウェイトローラー(WR)」という重りも、同じく消耗品です。これがすり減って真円ではなく、一部が平らになった状態(通称「おむすび型」「D型」)になると、プーリーの溝をスムーズに移動できません。
これにより、正常な変速タイミングが妨げられ、加速が鈍くなったり、最高速まで伸びきらなくなったりします。Vベルトを交換する際は、このウェイトローラーと、ローラーを支える「スライドピース」も同時に交換するのが一般的です。
タイヤの空気圧不足
そして、一番見落としがちですが、影響がものすごく大きいのがタイヤの空気圧です。
規定値より空気圧が低いと、タイヤが大きく変形した状態で回転することになり、路面との「転がり抵抗」が著しく増大します。せっかくのエンジンパワーが、路面に食われてしまっている状態ですね。それだけで、最高速が5km/h~10km/h低下することも珍しくありません。
これは月に1回、ガソリンスタンドでチェックするだけですぐに改善できるポイントなので、真っ先に確認したいですね。
その他エンジン関連の不調
もちろん、エアクリーナー(フィルター)がホコリで詰まってエンジンが「窒息」状態になったり、スパークプラグが消耗して火花が弱くなったりしても、パワーダウン(=最高速低下)につながります。まずは、基本的なメンテナンスをしっかり行うことが、本来の性能を取り戻す一番の近道ですね。
PCX125にリミッターはある?
「100km/hあたりで、何かに当たったようにピタッと速度が伸びないけど、これってリミッター?」と疑問に思うかもしれません。
結論から言うと、国内で正規販売されているPCX125(というか125ccクラスのバイク全般)には、自動車の180km/hリミッターのような、特定の速度で作動する「速度リミッター」は搭載されていません。
じゃあ、あの「頭打ち感」の正体は何かというと、大きく分けて2つあります。
1. レブリミッター(過回転防止装置)
これは、エンジンが回りすぎて(過回転)、バルブがピストンに当たる「バルブサージング」などを起こして壊れてしまわないように、ECU(コンピュータ)が設定された回転数以上は回らないように燃料カットや点火カットを行う「エンジン保護装置」です。
例えば、長い下り坂などでエンジン回転数が意図せず上がりすぎた場合などに作動します。これが作動すると、ガクン、ガクンと失速するような感触がありますね。
2. 出力限界 / 変速限界
ほとんどの場合、平坦な道での頭打ちはこちらが原因です。
- 出力限界: エンジンが発生させている馬力(前に進む力)と、空気抵抗や路面との摩擦抵抗(後ろに引っ張る力)が釣り合ってしまった状態です。特に空気抵抗は速度の二乗に比例して爆発的に増えるため、PCX125の約12.5PSという馬力では、110km/h前後の速度が、この抵抗と釣り合う限界点(均衡点)になるわけです。
- 変速限界: CV_T(無段変速機)が、構造上設定されている最もハイギアな状態(プーリーの一番外側)になりきってしまい、それ以上変速できない状態です。
つまり、多くの人が感じる「リミッター」の正体は、「これ以上は進めませんよ」という機械的な制御ではなく、「これがこのバイクの馬力と変速機の限界ですよ」という物理的な限界なんですね。
PCX125の最高速カスタムと購入費用
「メンテナンスはバッチリ。ノーマルの限界も理解した。それでも、あとちょっと…いや、もっと速くしたい!」
ここからは、そんな向上心あふれる人向けに、カスタムの世界を少し覗いてみます。ただし、カスタムには費用だけでなくリスクも伴います。それと、これからPCX125オーナーになろうかな、という人向けに、新車や中古の相場感についても触れておきますね。
新車乗り出し価格と中古相場
まず、これからPCX125を手に入れる場合の費用感です。カスタム費用を考える上でも、ベース車両の価格は重要ですからね。
新車乗り出し価格
2025年現在、現行モデル(JK05)のメーカー希望小売価格は、363,000円(税込)です。
ただし、これはあくまで「車両本体の価格」です。実際に公道を走れる状態にするためには、これに加えて様々な諸費用がかかります。これが、いわゆる「乗り出し価格」ですね。
【乗り出し価格に含まれる主な諸費用】
- 自賠責保険料: 加入期間(1年~5年)で選べますが、必須です。
- 重量税: 125cc(原付二種)は新車登録時のみです。
- 登録諸費用: ナンバープレートの取得などを販売店に代行してもらう手数料です。
- 納車整備費用: バッテリー接続や各部点検など、安全に乗れる状態にするための費用です。
これらを合計すると、お店にもよりますが、総額で車両本体価格+3~5万円、つまり40万円前後を見ておくと安心かなと思います。
PCX125の中古車相場
中古車は、ご存知の通り「ピンキリ」の世界です。年式、走行距離、車両のコンディション(傷や錆、消耗品の状況)によって価格は大きく変わります。
- 初代(JF28): カスタムベースとして人気ですが、年式が古いため10万円台から見つかることも。ただし、走行距離が多い車両は駆動系のリフレッシュに費用がかかる前提で考えた方が良いですね。
- 2代目・3代目(JF56/JF81): 状態の良いものが増えてくる価格帯で、10万円台後半〜20万円台が中心でしょうか。コスパの良い狙い目モデルかもしれません。
- 4代目(JK05): 現行モデルなので中古でも高値安定です。走行距離が浅い「ほぼ新車」のような車両だと30万円台と、新車とあまり変わらない価格のこともあります。
中古車を選ぶ際は、価格の安さだけに飛びつかず、前のセクションで触れた「駆動系の消耗」がどの程度進んでいるか、タイヤはまだ使えるかなど、トータルでかかる費用を考えたいところです。安く買っても、すぐにVベルトやタイヤ交換で数万円かかると、結果的に高くつく可能性もありますからね。
ここで紹介した価格は、あくまで一般的な目安です。実際の価格は時期や地域、販売店(新車・中古ともに)によって大きく変動します。購入を検討される際は、必ずお近くのバイク販売店で最新の情報を確認し、実車を見ながら正確な見積もりをもらってくださいね。
限界突破。最高速130kmは可能か
カスタムの夢としてよく語られる「最高速130km/h」という数字。これは125ccのPCX125で達成可能なのでしょうか?
結論からハッキリ言うと、この後で説明するプーリー交換などの駆動系カスタムだけでは「不可能」です。
なぜなら、プーリー交換は、あくまでエンジンの発生したパワーを効率よく最高速に変換する「ギア比」を変更するもの。エンジンの「馬力(パワー)」そのものを上げるわけじゃないからです。
ノーマルの約12.5PSという馬力では、先ほど「リミッター」の項目で説明した通り、だいたい115km/h〜120km/hあたりで、爆発的に増大する空気抵抗とエンジンのパワーが釣り合ってしまいます。これが、駆動系カスタムだけでの物理的な限界速度になるかなと思います。
ボアアップと法的手続きの注意点
では、どうすれば130km/h以上という未知の領域を目指せるのか。その答えが、エンジンの排気量そのものを上げてしまう「ボアアップ」です。
シリンダーやピストンを交換し、排気量を150ccや170ccに増大させることで、絶対的な「馬力」を稼ぎ出すわけですね。
ただし、これにはカスタムの範疇を超える、非常に重大な法的責任とリスクが伴います。
排気量変更に伴う法的義務(最重要)
日本の法律では、排気量が125ccを超えた時点で、そのバイクは「原付二種(ピンクナンバー)」ではなく「軽二輪(白ナンバー)」という扱いに変わります。これに伴い、以下の手続きが法律で義務付けられています。
- 1. 登録変更: 市役所で原付二種の廃車手続きを行い、その後、管轄の陸運局(運輸支局)にて「軽二輪」として新規登録し直す必要があります。
- 2. 必要免許: 運転に必要な免許が「小型限定普通自動二輪免許」では足りなくなり、「普通自動二輪免許(AT限定でも可)」が必須となります。
- 3. 保険・税金: 自賠責保険、任意保険(ファミリーバイク特約は使用不可)、軽自動車税の区分がすべて軽二輪のものに変わります。
これらの手続きを怠ったまま公道を走行すると、違法改造、脱税、そして「無免許運転」という極めて重い罪に問われ、厳しく処罰されます。
ボアアップは、単なるカスタムではなく、車両区分そのものを変更する行為です。すべての作業とそれに伴う結果は自己責任となりますので、必ず専門知識のあるショップや法律の専門家にご相談の上、そのリスクと義務を完全に理解した上で着手してください。
カスタムの定番。ハイスピードプーリー

「ボアアップはハードルが高すぎる…」ですよね。法的にも技術的にも、そして費用的にも大変です。
「法律の範囲内で、ノーマルエンジンのまま、手軽に加速と最高速をもうちょっと良くしたい」という場合の、最も現実的で定番のカスタムが、「ハイスピードプーリー」への交換です。
これは、CVT(変速機)の心臓部であるプーリー本体を、社外品の高性能なものに交換するカスタムです。社外品のプーリーは、ウェイトローラーが転がる溝の形状(ローラーガイド形状)が純正とは異なり、より最適化されています。
この形状の違いによって、Vベルトを純正プーリーよりも「より外側」(=直径が大きい位置)まで移動させることができるようになります。
すごく簡単に言うと、自転車のフロントギアを、純正よりももっと大きなものに交換するイメージですね。同じエンジン回転数でも、後輪をより速く回転させることが可能になり、結果として最高速がアップする、という仕組みです。また、製品によっては加速性能も同時に改善するように設計されているものも多いですね。
ウェイトローラーのセッティング
ハイスピードプーリーを組む上で、最高速と同じくらい(人によってはそれ以上に)大事なのが「ウェイトローラー(WR)」のセッティングです。「セッティング沼」とも呼ばれる、奥深く面白い部分ですね。
この「重り」の総重量を「重く」するか「軽く」するかで、バイクの変速タイミングがガラッと変わり、加速特性や最高速の到達時間が変化します。
- 重いローラー: 遠心力が早く(低い回転数で)効くため、すぐにハイギア側に変速します。燃費が良くなったり、最高速に到達しやすくなったりする反面、加速が鈍くなる(もっさりする)傾向があります。
- 軽いローラー: より高いエンジン回転数にならないと遠心力が効かないため、変速タイミングが遅れます。低いギア(加速側)を長く使うことになるので、加速性能が鋭くなる反面、エンジンが先に吹け切ってしまい、最高速が逆に低下する場合もあります。
市販のハイスピードプーリーキットには、そのプーリーの特性に合わせた「推奨ウェイトローラー(例: 13g×6個)」が付属していることが多いです。
ただし、これはあくまで「ノーマルマフラー、ノーマルエンジン用」のセッティングであることがほとんどです。
もしマフラーを社外品に交換した場合、エンジンの出力特性(最もパワーが出る回転域=パワーバンド)が変化しています。それに合わせて、ウェイトローラーの総重量も変えて(軽く、あるいは重くして)、新しいパワーバンドに合わせた変速タイミングを見つけ出す作業が必要になります。ここがスクーターカスタムの面白いところであり、難しいところでもありますね。
PCX125の最高速。目的別まとめ
最後に、「PCX125の最高速」を知りたい、あるいは改善したいと思った目的別に、最適なアプローチをまとめてみます。
(1) ノーマルの速度(100km/h)が出なくなった人へ
結論:カスタムの前に、まず徹底的なメンテナンスが必須です。
最も疑わしいのは駆動系です。Vベルト、ウェイトローラー、スライドピースといった消耗品を「純正品」で新品に交換してみてください。同時に、タイヤの空気圧チェックと、エアクリーナー、スパークプラグの点検も必須です。多くの場合、これだけで新車時に近い性能が回復するはずです。
(2) ノーマルマフラーのまま、手軽に「プラス10km/h」したい人へ
結論:「ハイスピードプーリーキット」と「強化Vベルト」の同時交換が最適です。
キットに付属する推奨ウェイトローラー(例:13gなど)を使用することで、ノーマルマフラーに最適化された、加速と最高速のバランスが良い状態が手軽に得られるかなと思います。ただし、部品の摩耗はノーマルより早くなる可能性があるので、定期的な点検は忘れずに。
(3) マフラーも交換し、トータルで「115km/h」以上を狙いたい人へ
結論:プーリーキット導入に加え、地道な「ウェイトローラーセッティング」が必要です。
マフラー交換により、エンジン特性が変わっています。プーリーキット付属のローラー(ノーマルマフラー用)が最適とは限りません。それよりも軽いローラー、あるいは重いローラーをいくつか試し、交換したマフラーのパワーバンドを一番活かせるセッティングを見つけ出す作業(試走と調整の繰り返し)が必要になります。
(4) 「130km/h」の夢を追いたい人へ
結論:駆動系カスタムだけでは到達不可能です。
ボアアップによる絶対的な馬力の向上と、それに伴うFIコントローラー(サブコン)による燃料調整が前提となります。そして何より、これは単なるカスタムではなく、車両区分そのものを変更する行為であり、それに伴う「法的な登録変更(軽二輪化)」と「運転免許の区分変更(普通二輪免許)」の義務を絶対に理解した上で着手すべき領域です。
PCX125は、ノーマルのままでも非常にバランスの取れた、素晴らしいスクーターです。まずはしっかりとメンテナンスをして、そのバイク本来の性能を引き出してあげてください。その上でカスタムを考える場合も、法的なルールを守り、安全第一でバイクライフを満喫してくださいね!
